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第三十一章 杀局,地府之战(2 / 2)

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でも嘉然さんは猫が好きだって仰っていましたから、私は泣きました。

犬でも猫でもない私がなぜ泣いたのかはわかっています。本当は私、鼠なんですから。

嘉然さんに好いてほしいなんて望む度胸など私にはありません。誰だって理解余裕上手天才でお財布にもなれる萌え萌えワンちゃんと猫ちゃんが好きなんでしょうし、陰湿で病弱な鼠のことなんて好きな人は一人もいませんよな。

そんな私でも嘉然さんにこう問いかけてみました。「貴***にはなれないのでしょうか」と。

犬には決してなれないという事は承知の上です。もしも彼***が好きだったら、隣でずっと見守って差し上げられるんでしょうね。たとえ彼女が懐に抱いてるのはずっと犬であったとしても。

しかし彼女は「猫が好き」だって仰っていました。

彼女が今でも私の事を見ていて、私を楽しませてくださっているのは、猫がまだ姿を表していないからです。鼠である私だけが、毎日そろりと穴から出てきて、遠くから彼女と目を合わしています。

彼女の好きな猫が現れたら、私はまた大人しく穴に戻って引きこもるでしょう。

そんな私でも、やはり彼女が好きです。私が側にいて差し上げられる時間だけでも、もう少し私を見ていただけませんか。

嘉然さんは、これからのあらゆるクリスマスはみんなと一緒にお過ごしになると仰っていました。「みんな」に当てはまる人ってどんな人なんでしょう。この集合に私もエンドサイトーシスしてほしいです。

猫ちゃんは未だに嘉然さんが怖いです。

彼女の愛する猫は私が連れて来ますから。

少しでも油断したら、猫の口に身を滅ぼされます。

その時になったら、嘉然さんは私の体をちゃんと繕って、ドアの外へ捨ててくださるんでしょう。

そうしたら私はネズミフライに。テヘヘ。

できるだけ近い所に捨てていただきたいです。彼女が好きなんですから、これからもずっと。

窓越しに部屋の中を覗く我が魂に映ったのは、つけてあった軽く鳴っている鈴と、ソファーに寛いでいらっしゃる嘉然さんと、そして彼女の肩に座っていて大人しく演じているレッドタビーの猫。

壁炉の火明かりは彼女の頬を照らして、凍り付いた我が心臓は寒風に揺られて僅かな熱を放つ。

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